今夜が小山田!今夜が…小山田!andymori雑談Vol.4

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田中元:アンディモリが解散しました。と、思ったら小山田さんが新しいレーベルを立ち上げました。前回話したのは、ラブシャで解散するはずだったけど、そのライブで「もう一回やろう」って話が持ち上がったところです。それで「やっぱり解散しないでほしいなあ」って話でした。結局武道館ライブをもって、本当に解散しちゃいましたけど……。

Vol.1
ソウヘイヘーイ!ソウヘイ…ヘーイ!!andymoriと“SAWASDEECLAP YOUR HANDS”と憂鬱アンディモリvol.1

Vol.2
andymori(アンディモリ)vol.2/16のリズムを知ってるかい?16のリズムを知ってるかい?そーれ、ホホホーイ!ホホホーイ!!ホホホイッ!ホーイ!!!!

Vol.3
小山ちゃんは!アンディモリをやめへんで!やめへんで!やめ!へん!で~!andymori-vol.3

くい:その頃のツアーはどんな日程だったんだっけ?

ツアー日程

2014年7月21日
大阪城野外音楽堂

7月27日
ゼップ東京

8月7日
トーキングロックフェス

8月12日
恵比寿LIQUIDROOM(テレフォンズとの2マン)

8月20日
千葉LOOK(HINTOとの2マン)

8月29日
スイートラブシャワー

10月15日
日本武道館

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引用元:andymori公式サイト

ラブシャの方が良かったですよ。

田中:こんな感じですね。ワンマンが2回、対バンが2回。フェス出演が2回。で、番外編の武道館が一回という形です。

くい:元くんが行ったのは、スウィートラブシャワーと武道館だよね? この2本はどうでしたか?

田中:ライブとしてはラブシャの方が良かったですよ。観客も「これが最後なんだ」ということで、とても緊張感が高かったと思います。武道館はどこか、張り詰めた感じっていうのがなくって、むしろ卒業式みたいな前向きな空気だったかなって。ライブ自体も、感傷的なMCとか全然なくっていつものちょっと抜けたようなノリでしたし、小山田さんの声もむっちゃくちゃ出てましたし、特別な感じってほとんど無かったと思います。僕が聴きたかった“シティライツ”とか“サワズディークラップユアハンズ”とか“ティーンズ”とか、ライブレパートリーからは外されてしまった曲の復活なんかも無かったですし……。

くい:武道館が10月15日。レーベル発表が何日だっけ? 怒涛だよなあ。

田中:11月30日に、小山田さんが主導でレーベルを立ち上げたっていう発表がありましたね。解散してからこの11月の終わりまでに、小山田さんはけっこういろんなところで弾き語りライブに出演してましたからね。怒涛ですよ。

くい:なんでこんなに生き急ぐんだろう。高速で物語が紡がれていく勢いってのは小山田さんが意識してそうしてるものなの?

田中:んー、やっぱり単純に、一度飛び降りて、活動を止めてしまったというのがあるんじゃないですか? アンディモリ時代だって、年に一枚はアルバムを出して、ライブツアーも年に二回はやってました。でも、当たり前ですけど、飛び降りた後からツアーを再開させるまでは活動は無かったですからね。そこで止まってしまったから、今また、“すごい速さ”でやるってのを、信頼を置ける仲間と一緒にやりたかったのかなって思います。

くい:レーベルをやらなければならない、ってのは、やっぱり信頼を置ける人と一緒に活動するんだ、ってところなのかな?

田中:自主レーベル設立は、「3年くらい前から、バンドが解散に向かう中で思い描いてた」らしいです。時期としてはアンディモリの『光』が出たあとくらいですかね。あるいは、合法ハーブ事件の後あたりなのかもしれません。それと、『光』もシングルかミニアルバムを出すつもりで制作していたのが、フルアルバムまで膨れ上がったという経緯があったはずです。これによってアルバムの発売が延期になったんですよね。合法ハーブとか、アルバムの発売が延期になるとか、自分が起こした行動で、他の人に迷惑を掛けたくないっていう想いがあったんじゃないですかね。ただ、新しいレーベルには、アンディモリ、旧ドラマーの後藤さんと2代目ドラマーの岡山さんが参加してます。今のところWebサイトを見る限りは参加してないようですが、藤原さんにも声かけたみたいです。

くい:「自分が起こした行動で、他の人に迷惑を掛けたくない」だったら、今度はひとりでやればいいんじゃねえかって話にならない?

田中:だからこそ近しい人たちというか、腹を割って話せる人だけでやりたいってことなんじゃないですかね。そもそも『光』の段階じゃ解散に向かってるように見えなかったですよね。

くい:そう? 『革命』の制作に時間がかかった段階で危うい感じあったけどなあ。バンドがもってた儚げな空気ってのは最初期からあったように思うし、初めて観たときから感じてたけど。

田中:いきなり「革命」とかいう言葉使い出して、共産党に鞍替えしたのかと思いましたよ(笑)。

くい:小山田さんのソロを小箱に観に行ったって聞いたけど、どうだったの?

田中:いやあ、なんかもう言葉が出ないというか。「アコギ一本でそこまでできるかね!」って思わされました。一曲目の“ゆうちゃん”って曲がよかったですね。初めて演奏した時は「小学生の時の友だちのことを歌ったうたです」って言ってたらしいです。

“それでも夜は星を連れて”

くい:そういえば、LIVE DVDに収録されてる“それでも夜は星を連れて”が凄くいい曲だよね。なんだかアンディモリ史上もっともポップな曲だって思った。

田中:ホントですよ! ラブシャで初披露されて、武道館でも演奏されたのでDVDに収録されるみたいです。歌詞はこんな感じです。

夕暮れの道を並んで歩く 酔いにまかせて次の店まで
口をすべらせ 君の目が曇る そんなつもりじゃなかったんだけれど
愛してるなんて いい訳みたいだね
君がいないと まるで駄目なのに
そばにいて欲しいなんて かっこわるいね。
飲み過ぎただけさ 気に留めないで。

それでも夜は星を連れて
何でもない顔して 旅に誘うよ
トランクの中には 四ツ葉のクローバー
この風が吹くならば
君と歩いて行ける
この風が吹くならば
いつの日も何度でも
君と歩いて行ける
この風が吹くならば

“それでも夜は星を連れて”

田中: YouTubeにも上がってますけど、すごくさわやかでポップな曲じゃないですか。歌詞も、かなり希望に満ち溢れているというか、アンディモリの曲では一番多幸感があって祝祭的なムードがありますよね。

田中:僕はこの曲を解散ライブで聴いた時に、凄く残念だったんですよ。

くい:残念!?

田中:小山田さん、浄化されちゃったんだなぁと。前の雑談の時も言ったと思うんですけど、飛び降り事件によって、小山田さんがもろに病んだ人だっていう認識が広まったと思うんですよね。だから僕は、そういう病んでいる部分というか、陰の部分を隠さないで歌にしてほしいって思ったんです。ストレートな表現でもいいし、1stや2ndの頃みたいに抽象的な表現でもいいし。けど、復帰してから披露された新曲はどれもこういう陽性な面が打ち出されたものばかりなんですよ。だから、きっと、この一年の間に、小山田さんの葛藤や闇のようなものは消えてしまったんだろうなって思ったんです。

くい:そういうことか。

田中:“それでも夜は星をつれて”って、最初の部分はメンバーに対する言葉で、コーラス部分は半分メンバーに、半分はリスナーに向けてなのかなって思うんですよ。夕暮れの道っていうのは、経済的に没落していく日本の暗喩だっていうのはメモのほうで繰り返し書いてきたことですけど、「酔いに任せて次の店まで」っていうのは、本当は初期ドラマーの後藤さんが脱退した時に解散しておくべきだったのかもしれないのに、バンド活動によって生まれた熱狂に突き動かされるがままにこうして活動を続けてきてしまったことを暗喩しているんじゃないかと思います。「愛してるなんて」という言葉は“ベースマン”でも使われていた言葉なので、特に藤原さんに対して向けられている曲だということを感じさせます。その後のラインは、バンドという形ではなくなってしまうけれど、メンバーの人たちと円満な関係で歩み続けてゆける方法を見つけたという意味なんじゃないかなぁと思います。

くい:小山田さんはいつもバンドについて歌っているよなあ。

田中:そうなんですよ。これは、スパークリングレコーズに岡山さんと後藤さんが参加していることや、後藤さんと小山田さんがライブで共演したことや、今のところ活動は共にしていないけど藤原さんとも距離が離れていないっていうことから言える結果論ではあるんですけど。だから、この歌は、「アンディモリ解散」という出来事に対する、前向きな面を歌った曲なのではないかと思うんですよ。自殺未遂を起こした自分を迎え入れてくれた人たちに対する感謝の気持ちや喜びを、そのまま曲にしているんじゃないかなと。

くい:あー。わかった。ごめん、ちょっと話ズレるけど。小山田さんはいつもバンドのことを歌ってる。この人は「バンドを想う」ってことをやり続けてる人なんだ。俺が好きな現存の日本のバンドって、くるりとアジカンなのよ。くるりはポップミュージックをバンドで鳴らすことにおいて、頂点。アジカンは日本のロックバンドの頂点。で、アンディモリは何かっていうのが自分の中でちゃんと説明できなかったんだけど、今、わかったわ。「バンドを想うフロントマン」の頂点が小山田さんなんだ。バンドが奏でる音楽って、フロントマンが、「そのバンドに何を想うか」というのと、「バンドってもの自体に何を想うのか」が凄く重要なんだよね。

田中:はい。

くい:“3分間”でも歌ってるけど、小山田さんの理想のロックンロールバンド像って凄く純粋だよ。常にキラキラしていて、ファンタジーで、ユートピアで、排他的でなく誰でも仲間に入れてくれて、踊りに誘ってくれる。この曲ってちょうど3分の曲なんだけど、『光』には3分ジャストの曲が3曲あるのよ。もう2曲は“ベースマン”と“ひまわり”なんだけど。これはどういうことかというと、「“3分間”=小山田」「“ベースマン”=藤原」「“ひまわり”=岡山」ってことだと思うんだよ。3人で3分間を鳴らすってことをシェアしてる。ストーリーの組み上げ方が上手すぎるよね…。

行こうよベースマン 3メートル隣で鳴らす夢の続き
誰にも真似できないそのステップで
愛してるなんて まさか言わないぜ 風と共に行くだけさ

“ベースマン”

田中:その話は、すごく納得のいく説明ですね! 僕は『光』が全然好きになれなくって、考察メモでも何一つ気の利いたことが書けなかったんですが、そういうことをちゃんと言えれば良かったなぁ……。

くい:もう一個いい?

田中:もちろん(笑)。

くい:日本でミュージシャンをやるとなると、何が重要かって、メロディにどれだけ歌を乗せられるかの戦いじゃない? それの頂点がある意味ではやっぱりサザンの桑田さんだと思う。で、たとえばエレカシの宮本さんは、男気というか、男根な方向でそれが最高に上手い人。スピッツの草野マサムネとかは、男の恋愛に対するナヨナヨ感……まあ、言ってしまえば男の女々しさをメロディに溶け込ませる人なんだと思うのよ。で、今の時代に合った、2010年代の「日本」、または「日本人」が欲しがりがちな「ノスタルジー」とか「歓喜」とか、その方向で一番なのが小山田さんだって感じがしてる。つまり、上手さもそうだけど、本人がもってる性質と、時代がピッタリ合ってるってのを凄く感じるんだよなあ。

“ゆうちゃん”

田中:あぁ、それは確かにあるのかもしれないです……。的を射た評だと思いますね。僕としては、より個人的な表現を行っていくために解散をしたんだなって思うような曲が並んでいた印象ですね。たとえば、まぁこれは完全に憶測にすぎないんですけど、「ゆうちゃん」って、アンディモリの「優花」なのかなって思うんですよ。優花って多分、小山田さんが自分の娘につけたい名前なんじゃないかと思うんですね。

くい:え、そうなの!? なんで?

田中:僕もツイッターで教えてもらっただけの情報なので曖昧ではあるんですけど、小山田さんはインタビューで“優花”について、「将来生まれてくる自分の子どものことを想像して作った」って語っていたらしいんですよね。あと、こっちは自分で調べたことで、ラストアルバムの考察(http://songforone.me/post/367)でも書いたんですけど、“優花”の歌詞に出てくる梓川っていう川は、長野県の松本市に流れている川なんですね。で、小山田さんの恋人である清水美和子さんは、その松本市にある信州大学の出身なんですよ。だから多分この歌は、美和子さんと長野県に行った時のことを歌っているんじゃないかって話です。

くい:清水美和子さん、って言われてもそんな人知らんで(笑)。

田中:プリドーンですよ!

くい:あ、そうなんだ。

田中:で、「ゆうちゃん」っていうのは、友だちがダラダラしててもニコニコしながら面倒見てあげるっていうおおらかな女の子ですよね。つまり、自分の娘にそうなっていて欲しいっていう願望が込められているんじゃないかっていうのが、まず一つ。で、もう一つの見方は、「ゆうちゃん」が小山田さんの理想の姿であり、歌の主人公がアンディモリのリスナーというものですよ。僕が繰り返し言っているのは、小山田さんはアンディモリで敗北を喫した、っていうことです。つまり、“シティライツ”に込めた「アバディーンアンガス」のメッセージは、誰も読み取ってくれなかった。政治的・社会的なメッセージを歌って、リスナーに賢くなってほしいと願っていたのに、それは叶わなかった。その立川の弾き語りで、女性ファンが「壮平かわいー!」とか、黄色い歓声上げまくってるんですよ。もちろん、黄色い歓声=悪とは言いませんけど、小山田さんが届けたかったメッセージはスルーされてしまっているっていうのは、現場に行けばひしひしと感じます。フロアで見てただけの僕ですらそう感じてしまうってことは、実際にそんな声を浴びたり、話しかけられたりしてる小山田さんは想像を絶するものがあると思いますよ。

くい:最後の声援のくだりはなんだかなあ、って気がするけど。そんなにナイーヴなの?

田中:小山田さんは全然気にしていないかもしれないです。けど、「自分が音楽を通して届けたかったメッセージ」がスルーされてしまったという感覚は持っているんじゃないですかね。だからこそ、“シティライツ”とか“サワズディークラップユアハンズ”みたいな、政治的メッセージをガツンと込めた曲をライブでやらなくなったんだと思います。

くい:それはあるかもね。

田中:僕はそういう意識が前提にあったから、黄色い声援が耳障りに聞こえてしまったのかもしれないですけどね。で、ゆうちゃんの話に戻すと、この曲の主人公はやらなきゃいけないことをやらずに、ダラダラとテレビを見ているわけですよ。テレビ=悪ではないですけど、小山田さんは、テレビの話ばかりしている同級生に違和感を持っていたとインタビューで語っていました。けど、ゆうちゃんは、お昼ごはんも休み時間も、グータラな主人公が語るテレビの話を、にこにこしながら聞いているわけです。だから小山田さんも、本当は、みんなの話をニコニコしながら聞ければいいなって気持ちを、そのままゆうちゃんというペルソナに投影しているんじゃないですかね。啓蒙してやろうって気持ちなんか持たないで。

くい:ほうほう。“ゆうちゃん”はわかった。他のよかった曲は?

田中:“メリージェーン”っていう、マリファナの歌と、あんまりよく覚えてないんですけどほんわかしたラブソングと、あと誰かとの決別を歌ったものがありましたね。“メリージェーン”、すごいですよ。他のライブでも披露しているみたいなんで、多分音源にも入ると思うんですけど。「君に最初に会ったのは19のこと」って歌い始めて、「インドの船乗りにもらった」とか言ってるんですよ。で、「everything gonna be alright」って、“エヴリシングイズマイギター”と同じフレーズが繰り返されるんです。マリファナ賛歌なんです。あとはカバーもやってました。この曲です。


“私に人生と言えるものがあるなら” ザ・ナターシャー・セブン

くい:いい曲だなあ……ジャケットの「あき」が気になるけど(笑)。ソロの弾き語り聴いてみたいなあ。小山田さんの初動は、ソロ名義なのかな。新バンド?

田中:ソロ名義になると思いますよ。“メリージェーン”ではマリファナ、ミサイルの歌ではファンへの決別を歌っていますし。個人的な表現をしなければならないと思ったから、他のメンバーに責任を負わせるわけにはいかないということでソロになったんじゃないかと思うんですよ。バンドで“メリージェーン”を歌ったら、そのメンバーもマリファナ賛美に加担することになるじゃないですか。もちろん、マリファナは良いもんだ、みんな吸え! ってことを言いたいんじゃなくて、マリファナが持つ一つの側面を歌ったんだと思うんですよね。

くい:俺はバンドだと思うな。だって、“夢見るバンドワゴン”だよ。あの人はどこまでも「バンドマン」という生き物だと思う。年末はアンディモリのライブDVD観ながらお酒でも飲みたいなー。

田中:それいいですね! そうしましょう!


2014年12月13日収録
田中元×くいしん

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