andymori(アンディモリ)vol.2/16のリズムを知ってるかい?16のリズムを知ってるかい?そーれ、ホホホーイ!ホホホーイ!!ホホホイッ!ホーイ!!!!

くいしん:年末らしいタイトルでいいね(笑)。

田中元:ありがとうございます(笑)。次回は『今夜が小山田!』にする予定です。

くい:で、今回は、その後のアンディモリについてです。前回は、アルバム『光』が発売されて、ああいう形で、まあ言ってしまえば、「ディス」っていうスタンスで記事にしたわけですけど。そのあとは本当に怒涛の展開だったよねえ。

第一回:ソウヘイヘーイ!ソウヘイ…ヘーイ!!andymoriと“SAWASDEECLAP YOUR HANDS”と憂鬱アンディモリvol.1


『宇宙の果てはこの目の前に』andymori

田中:ファンの人たちには今更説明するまでもないとは思うのですが、アルバム『光』を発表してからだいたい半年後に、小山田さんが合法ハーブの吸引で、救急隊に運ばれたことがニュースになりました。

くい:今思えば「そんな細かいお騒がせもあったな」っていう程度の出来事だなー。

田中:吸引していた物に違法性はなかったので、この件は書類送検という事で片が付きましたけど、テレビのニュースでも取り上げられて、いろいろと議論を呼んだりしましたよね。

くい:ガッカリした、っていう声もあったね。「小山田さんが合法ハーブをやっちゃうなんてショックでした」みたいな。吐き気しか感じないけど、そういうご意見。

田中:僕も、くいしんさんと同じような考えですかね。そもそも音楽家に品行方正さを期待していなかったから、むしろこの小山田さんの行いを過度にバッシングする意見とか、「壮平くんがそんなことするなんてショック~」なんて言うアイドル的な楽しみ方をしていたファンに対しても、別にそこまで過敏に反応しないでも……と感じました。あと「それでも壮平のこと待ってるよ」とかって、過剰にドラマチックに捉えようとするファンも嫌でしたね。合法ハーブくらいで……っていう。

くい:バジル食ってるのとなんら変わらないからね。

田中:これが2012年の11月のこと。その後、延期になっていたツアーを再開させたり、アルバムを作ったりしていたらしいのですが、年が明けて2013年の5月27日になって、8月の武道館公演をもってバンドを解散するという事が発表されました。そしてラスト・アルバムとなる『宇宙の果てはこの目の前に』が6月26日に、リリースされました。で、その約一週間後の7月4日に、小山田さんが川に落ちて骨折や外傷を負って重体になったというニュースが流れました。

くい:冷静に聞いても怒濤としか言いようがない……。

田中:海外のロックミュージシャンはスキャンダラスなこといっぱいやらかしますけど、日本のミュージシャンとしては大波乱でしたよね。

くい:「だから尾崎に似てるって言ってるじゃないですか!」みたいなこと言ってたよね?

田中:そうですね(笑)。で、これは小山田さん自身の意思で飛び降りたということでした。今のところ、公式に発表されている予定としては、小山田さんの怪我によってキャンセルになったツアーは、2014年の夏以降完治し次第、振り替え公演を行う、とのことらしいです。ちなみに現状、解散発表の撤回はされていません。前回僕たちは、一年前に話した内容を記事にしたわけですが、まぁそっからこれだけいろいろなことが起こったわけです。

くい:いろんなことが起きた、と素直に思うよ。

田中:だから復帰後はぜひ、卍ライン名義でレゲエミュージシャンとして活動中の窪塚洋介さんとコラボレーションして欲しいですよね。

くい:飛び降り仲間としてね(笑)。で、元くんは『宇宙の果てはこの目の前に』が素晴らしい作品だと感じたわけですよね。だからこそ今回の記事があるわけですが、どこが最高なの?

田中:いや、最高でしょう! そう感じない人がいるとしたら何故なのか逆に問いただしたいくらいですよ。

くい:いいアルバムだと思います。

田中:まず、“teen’s”が、アンディモリ解題になっているから好きですね。正直びっくりしました。最初の方の曲は、フツーのロックバンドのフォーマットでここまでできるんだなっていうのはあったんですけど、“teen’s”まで来たら、素直に、「あぁ、凄まじい」と思いました。

くい:具体的にはどういうところ?

田中:これまでアンディモリっていうのは、レコードのフォーマットを意識したアルバム作りをしていたじゃないですか。アルバム一枚で、30分強。一曲一曲も、平均すると3分くらいのものが多くて、長くても5分を超す曲が一曲とかで。そういった、これまで課していた枷のようなものが、このアルバムでは無くなっていて。

くい:“teen’s”は長いよね。

田中:“teen’s”は6分半ありますけど、一秒たりとも無駄な時間が無いので。これは実際に十九歳の時に作った曲らしいんですよね。田中宗一郎さんがThe Stripesの記事で ピート・タウンゼントみたく、 頭良すぎて、考えすぎて、 結局、どうしようもない馬鹿になる。

こういうスタイルもあります。
苦しんで苦しんで馬鹿になる。
これはやはり比較的モダンな
ロックンロール・スタイルですね

参照:30分で教えます。「ストライプスを最高のロックンロール・バンドたらしめる10の条件」part.1 – the sign magazine

というふうに書いていたんですね。タウンゼントっていうのはThe Whoのフロントマンですが、これって小山田さんにも当てはまると思うんです。

くい:あー、ホントだ。

田中:だって、早稲田を卒業していて、文学にもたくさん触れている人が、何も考えずに“FOLLOW ME”とか歌うわけないじゃないですか。あれとかも、アメリカの暗喩なのだと思うのですけど。

太陽が破裂するまで
歌ってあげるよウィ?アーザワールド
カリフォルニアドリーミン
キープオンザサニーサイド

って歌っていますけど、太陽っていうのは日本のことを指していると思うんですよ。

くい:うん。

田中:太陽は日本の国旗に描かれているもので、様々なところで使われる比喩ですよね。で、破裂するまで歌ってあげるよっていうのは、日本がぶっ壊れるまで、陽気でポジティブな歌を聞かせてやるよってことだと思うんです。だから俺たちアメリカについてこい、っていうことだと。まぁ今の時点で振り返ってみると、アンディモリ自体の暗喩にもなっているところがまた面白かったりはするんですが。ただアンディモリがなんで別格なバンドなのかっていうと、そんな裏に込められたメッセージなんてものは読み解けなくっても、聴けちゃうしハマれちゃうとこだと。けれど、そこに行きつく前に、“teen’s”で歌われているような、考えすぎちゃっている時期があったという事が判ったことが、僕はうれしかったんですよね。それに僕がアンディモリに見い出していた、世の中を都合よく解釈せず、混沌のまま受容しようとしている様が、これでもかってくらいに表現されていますし。「僕たち今幸せです、充実しています」っていう自分たちの日常を尊んだり賞賛したりする曲って
好きじゃないんですよ。そういうのって、その輪の中にいない人間からするとイタいんですよね。けど小山田さんは、自分自身を含めて、何かを盲目的に信じ込んだりすることはなくて、口を開けば向井秀徳さんのように諸行無常さを歌ってしまう。それゆえに混沌としているとも思うんですけど、世界って言うのはそういうものじゃないですか。その混沌とした状態に対して、何もなす術を持たない自分というものを、そのまま曝け出して歌っているという。

くい:うん。

田中:1stや2ndを聴きまくっていたころは、「いったい何を歌っているんだろうな、この歌詞の意味って何なんだろうな」っていうことをものすごく考えていたんですよ。けど、“teen’s”を聴いたら、小山田さんがこういう社会的なメッセージを表現したいという気持ちが強い人だった、ということを確信できたのがうれしいですかね。で、初期はすごく難解な歌を歌っていたじゃないですか。なぜあんなにも難解な歌になっていたのかというと

こんな馬鹿な気持ちを歌にしたら笑うだろう
なんて弱い奴だと相手にされないだろう

っていう恐れがあったから、そうせざるを得なかったわけじゃないですか。歌のメッセージ自体は十代が抱えがちなテーマかもしれないんですが、それを創作に落とし込むにあたって、1stや2ndのような表現にたどり着いたのかなって。これまで、プライベートな部分とか、心のうちとかを直球でさらすようなことはしなかった小山田さんがこのアルバムで初めてシンガーソングライター的な部分というか、悲しみや内省的な部分を、楽曲のデコレーションとかを施さないで出してきているな、と。

くい:つまり、アンディモリのまったく違った面が見えたアルバムになったっていうことね。

田中:たとえば“16”っていう曲があるじゃないですか。あれは歌詞の中に

どこにも行けない彼女たち
駅の改札を出たり入ったり

16のリズムで空を行く
可愛くなれない性格で

なんて言葉があって、一見、行き場のない女の子たちのことを歌ってるかのようですけど、実際は小山田さん自身の歌なんですね。本人がインタビューでそうぼやいていました。『十代の女の子に向けた歌』という体裁を取らないと、自分自身についての歌を発表できないんですよ。
それとか“ピース”っていう曲なんて、陽性のコードを持つ曲調でもって、

姉さん 会いたいよ いつでも思ってるよ

なんて、お姉さんへの想いを歌っています。小山田さんもブログで書いたりしていますけど、お姉さんである咲子さんは事故で亡くなっています。そのことを踏まえて“ピース”の歌詞を読むと、悲しみと後悔についての痛ましい歌なのがわかります。でも、曲や演奏はあんなに明るい。アンディモリの楽曲ってそういうことが多いじゃないですか。歌詞だけを読んだときと、曲に乗った時に感じる印象が全然違う。なんでそんな作風になっているのかというと、おそらく小山田さんが、感情のままに音楽も言葉も統一してしまうことを避けたからだと思うんです。というのも、音楽でも映画でも文学でも、文化的な作品が好きな人っていうのは、本音やメッセージをそのまま口で伝えるっていうことをしたがらないというか。それは創作をするうえでは、表現の技術が稚拙だということじゃないですか。

くい:うんうん。

田中:口でそのまま言えちゃう、それで満足出来ちゃうことなんて芸術に昇華する必要が無いからですよね。だから、「僕はこう思ってますよ。みんな聴いてください」という、具体的なメッセージになることを避けたのではないかと。僕は「これ正論ですよね」ってどや顔をする人間が好きじゃないです。極端な言い方をすると、正論が言いたいんなら、学者でも文化人にでもなれよって僕は思ってしまうんですよ。知識が無いのに正論言ったつもりになるなよ、って思うんですね。

くい:そういうことね。この作品のどこが好きなのかよくわかりました。飛び降りた話に戻るんだけどさ、死ななかったよね。死ななかったってことは、死なないようにしたってことだよね?あえて少しスピリチュアルな言い方をすると死にたくない、って願ったから死ななかったっていう話だと思うんだよね。事故だとか自殺だとかそういう次元の話じゃなくてさ。

田中:そうですよね。死ぬために飛び降りたなら、確実に死ぬだろうっていう場所から飛んだはずですもんね。小山田さんは、作品から見るに、100%の確信をもって行動をするタイプの人ではないじゃないですか。死ぬって言ったって、希望が何もないから死のうっていう感じではないと思うんですよ。だから、迷っていたんじゃないですかね。希望が無いとかではなくって。

くい:何が言いたいかっていうと、「終わらせたくなかったんだ」って思ったんだよね。やっぱり、死ねないじゃん。俺はいくら絶望してる人を見ても結局死んでないじゃん、って思うのよ。だからこそ、死ににいってる人を見ると、うわぁーって思うわけじゃん。太宰治ううぅぅぅ、みたいなさ(笑)。

田中:そうですよね。

くい:だから俺は、ちゃんと復活して「やっぱり辞めない」って言ってほしいな。それでさらにいい作品を作ってくれたら最高だよね。だって、そうじゃないと、このワンクッション意味ないじゃん。なにこの留保期間、って思う。という、自分なりの復活後にどうなって欲しいか論なんですけど、元くん的にはどう?

田中:今僕自身が、アンディモリにどうなって欲しいかって考えると、病んだ精神を持った人だという事が明らかになってしまったのだから、抱えているものをもっと音楽に叩き付けてほしいですかね。それは、『光』に入っている曲みたいに、日記を書くようなラフな感覚で曲に落とし込むって形でもいいんです。一度聴いただけじゃ読み解けないような難しい歌詞になっていてもいいです。ただ、小山田さんの中に湧いてる感情をあまり隠さないで吐き出してほしいです。今の時点でもう事件から五ヶ月が経っていて、次に曲を作るのはいつになるのかわからないですけど、これを無かったように振舞うことはしないで欲しいです。表現の方向を予測するとなると、ヒッピーっぽい、愛万歳とか、人生最高みたいなアルバムになるかもって気がします。ただそっちで行くと、既に『光』でやってしまっているよな、っていう……。それに、自分が生きるか死ぬかっていう問題って、311と比較すると小さな問題になってしまうので、そこもまたツライところですよね……。逆に、答えが出せない問題に苦悶する姿っていう方向に行くとしたら、“teen’s”以上のものを出せるかというと、難しいと思うんですよ。あれはあれで禁じ手的な曲というか、本当なら一つ一つのラインが、一つの曲になるくらい大きな問題じゃないですか。で、それらを、答えが出ないままに
叫んでしまうっていう、他のアーティストがあまりやらない方法を取っている。前回も書きましたけど、創作表現って言うのは物事を純化して、答えを提示できるようにすることがほとんどですから。アメリカのブライトアイズとか、日本でもアロウズがやっていますけど。でも、本当に一番聴いてみたいのは、ファンに唾を吐きかけるような、怒りに満ちたアルバムですかね。「俺を追い詰めてんのは、お前らなんだよ」みたいな。これは今まで、自分が聴いたことのないような凄まじいモノになりそうな気はします。だから僕として、僕を含む、アンディモリファンを蹴散らすようなものを作ってくれたら嬉しいですけど。

くい:いいアルバムが出たから、また次が楽しみになったっていうことだよね。『革命』と『光』のときは次の作品を待ち望む気持ちにはならなかったもん。

田中:ほんとにそうです。やっぱりこのアルバムのどこが別格かって、前の二枚で「アンディモリもここまでか……。って思っていたのに、これだけの物が出たっていうところがあるので。ダメ期を乗り越えてくれたっていう感覚です。シロップ16gは結局スランプを乗り越えてくれなかったので(笑)。



andymoriベストソング

田中元
01. SAWASDEECLAP YOUR HANDS
02. teen’s
03.1984
04. FOLLOW ME
05. CITY LIGHTS
06.モンゴロイドブルース
07.光
08.life is party
09. everything is my guitar
10.16

くいしん
01.FOLLOW ME
02.1984
03.青い空
04.オレンジトレイン
05.すごい速さ
06.Sunrise & Sunset
07.16
08.CITY LIGHTS
09.クラブナイト
10.everything is my guitar


『宇宙の果てはこの目の前に』andymori

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